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April 03, 2016

書評『小倉昌男 祈りと経営』(森健  小学館)

Inori

小倉昌男さんは、僕の尊敬する経営者だった。

倒産寸前のヤマト運輸の二代目経営者として、逆境から日本に「宅急便」というサービスを生み出した手腕。
不合理な規制については、訴訟も辞せず、正攻法で行政と闘って許認可を勝ち得ていった気骨。
論理性。
巨万の富を惜しげもなく福祉に投じてヤマト福祉財団を設立し、全国の福祉施設経営者に自ら「経営」を教え、お小遣い程度しか支給されていなかった障害者の自立を支援した晩節の美しさ。

小倉さんのそうしたすばらしさについては、ご本人による名著『経営学』『福祉を変える経営』を初めとする、数多くの著作がある。

レコードに例えると、そうした輝かしい面が小倉さんのA面なのだが、この本は、小倉さんについて、これまで語られてこなかった知られざる「B面」を、丹念な取材によって明らかにしたいわば「裏面史」である。

森さんは、小倉さんが、福祉の分野においてあれだけの貢献をしながら「なぜそこまで福祉に力を注いだか」については、ほとんど語っていないことに疑問を抱く。

そして、会社関係者や私的な知人などから取材をしていくうちに、これまで語られてこなかった重大な秘密にたどりつく。

それを語ることはルール違反なので、ぜひ本を手にとって読んでいただきたい

この本を読んで、ますます小倉さんの素晴らしさを知ることになった。
読者は、小倉さんの孤独と絶望にも近い思いを追体験しながら、最後にもたらされる「安息」といっていい思いに安堵し、深い感動につつまれることになる。

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